Ⅱ. 整形の適応部位
整形分野のMRI検査はレントゲン検査では分からない、軟骨や筋肉、靭帯などの組織の異常の発見に効果を発揮します。
椎間板、神経、筋肉などの骨以外の組織に異常が認められる場合は、MRIであらゆる方向から撮影し異常の箇所の特定や症状を詳しく見ることができます。
1. 腰椎
腰椎MRIでは骨だけでなく、椎間板や神経などの状態がわかるので、様々な診断に役立ちます。 頑固な腰痛や足のしびれのある場合は腰椎MRI検査で原因が特定できることがあります。
検査の適応 : 腰椎腫瘍 椎椎間板ヘルニア 腰部脊柱管狭窄症 脊椎腫瘍 腰椎圧迫骨折 変形性腰椎症 腰椎すべり症 後縦靭帯骨化症(難病指定) など
2. 肩関節
日常生活やスポーツなどにより疲労が蓄積したり、外傷を受けたりしやすい肩関節は、多くの腱や靭帯で構成されているため、レントゲン撮影よりMRI検査が効果を発揮します。
検査の適応 : 腱板断裂、関節唇損傷、反復性肩関節脱臼、腫瘍性病変、肩関節周囲炎 など
3. 膝関節
膝は加齢による変形やスポーツによる外傷などで障害を受けることが多い部位です。日常生活にも非常に大きく影響が出る部位ですので、初期診断が適切に行われることが重要になります。
膝関節の検査にもMAIは非常に有用です。
検査の適応 : 変形性膝関節症、膝関節骨壊死症、膝関節のリウマチ、半月板断裂、バケツ柄断裂、膝軟骨損傷 など
4. 頸椎
頸椎椎間板ヘルニアなどの場合、レントゲン上で椎間板腔の狭小化が見つからない場合があります。MRI検査では椎間板の変性や膨隆の程度、脊髄の圧迫状況まで把握することが可能です。
検査の適応 頸椎椎間板ヘルニア、変形性頸椎症、頚部脊柱管狭窄症 など
5. 圧迫骨折
圧迫骨折の程度や、脊髄神経に接しているかなどを確認するためにMRIは非常に有用です。
また、スポーツなどによる外傷で、レントゲンを取っても特に異常が認められない場合などには、確定診断にもMRI検査が役立ちます。 その他高齢者でよく見られる、くしゃみや尻もちをついただけで生じる骨粗鬆症に起因した圧迫骨折などの発見にも有効です。
検査の適応 : 腰椎圧迫骨折 脊椎圧迫骨折 など
6. 筋挫傷・骨挫傷(スポーツによる外傷)
筋肉の損傷についての検査でもMRIは有用です。筋挫傷などの場合初期診断でMRI検査を活用し、治療することにより早期回復が望めます。
検査の適応 : 肉離れ、筋挫傷 など