Ⅱ. 整形外科
1. リウマチの早期診断
リウマチは関節内に存在する滑膜という組織が異常増殖し、関節内に慢性の炎症を生じる病気で、進行するとさまざまな機能障害を引き起こします。
貧血や微熱、全身倦怠感などの症状が併せて出ることもあります。
リウマチについては遺伝的要因や細菌・ウイルスの感染などが関係していると考えられていますが、原因はよくわかっていません。
また、リウマチは早期発見ができれば進行を止めたり遅らせることができるといわれています。
リウマチの早期発見にもMRI検査が有効で、最近では診断に取り入れられています。
2. 首の痛み
激しい首の痛みには頚椎椎間板ヘルニアによるものが多く、症状として肩・上腕・肩甲部の痛みや痺れ、脱力感を伴い、首を動かすのがつらい程の痛みを生じます。
頭痛やめまい、耳鳴りなどを併発する場合もあります。
この場合椎間板の変化やヘルニアの位置を正確に把握するためにMRI検査が役に立ちます。
3. 腰痛
腰痛といっても、加齢によって生ずる変形性脊椎症、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、変性すべり症や、骨折などの外傷、化膿性脊椎炎などの炎症によるものや、解離性大動脈瘤などの血管の病気、尿管結石、子宮筋腫や子宮内膜症、十二指腸潰瘍などの腰以外の病気によるものなど原因は多岐にわたります。
こういった症状の原因の切り分けや詳細な箇所を突き止め、的確な治療を行うためにもMRI検査が利用されています。
4. 肩関節の痛み(五十肩・肩鍵盤断裂)
五十肩は、関節やその周りの組織に炎症を起こし、肩の痛みと動きが制限される病気で、放置しても自然によくなると言われていますが、五十肩とよく似た症状がでる筋肉の損傷である腱板断裂もあり、それぞれ治療方法が異なるため、こういった区別にもMRI検査が活躍します。
5. 肩こり
首筋から肩、背中にかけて痛みを生じ、頭痛や嘔吐感を伴うものあります。
肩こりに関係のある筋肉は僧帽筋、三角筋、肩甲拳筋、棘上筋、棘下筋など、さまざまです。
また、頚椎疾患、頭蓋内疾患、高血圧症、眼疾患、耳鼻咽喉疾患、肩関節疾患が原因のものもあり長期間続くものや、強い痛みを感じるものなどは放置しておくと危険な場合があります。
肩こりの治療には、レントゲン撮影や、必要によりMRI、筋電図、血圧測定などの検査を行うことがあります。
6. 背中の痛み
背中の痛みにはさまざまな原因があり、外傷性のものから、胸椎ヘルニアや胸椎骨の変形、感染症や各種内臓疾患によるものがあります。
2~3ヶ月に渡り痛みが続くような場合は自己診断せず専門医の診断を仰ぐと、思いもかけない原因が判明することもあります。
こういった痛みの原因はレントゲン検査では異常が見られないこともあり、確定診断にMRI検査はかかせません。
7. 臀部・下肢痛
臀部痛には梨状筋症候群、坐骨神経痛、下肢痛には椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、腰椎すべり症、末梢血行障害、閉塞性動脈硬化症、バージャー病、下肢静脈瘤、末梢神経障害、複合性局所疼痛症候群や、股、膝や足の関節の障害や下肢の骨や筋肉の異常などさまざまな原因があります。
また、腰痛に下肢痛を伴っていおり、足の力が入りにくくなったり、排尿や排便が以前と違うなどの症状があれば、神経の腫瘍、炎症などを起こしている場合が多く、早期に専門医に相談したほうがよいでしょう。
8. 上肢痛
上肢痛には五十肩、腕神経叢、胸郭出口症候群、肩手症候群などのほか、頚椎椎間板ヘルニア、頚椎症、後縦靭帯骨化症などから、頚の神経根が圧迫されることにより痛みを感じるものなどもあります。